薬草トリビア★クソニンジン(3)
中国の歴史、深すぎ!
クソニンジンから、マラリアの有効性分アーテミシニン抽出の成功まで
1960年代から1970年代にかけての文化大革命の時期、科学者たちは毛沢東思想により最下層の階級とみなされていました。
この頃、中国の同盟国である北ベトナムは、南ベトナム・米国とベトナム戦争中で、マラリアによって多くの死者を出していました。また、マラリアは中国南部の海南、雲南、広西、広東でも主な死因の一つでした。
そんな歴史背景の中、1967年5月23日、毛沢東はマラリアの新薬開発の秘密プロジェクトを命じ、トゥ氏がリーダーとなりました。
トゥ氏(当時39才)は、中国の伝統的な薬に注目し、2000以上の漢方薬草を試す中で、1つの薬草に出会います。
それがキク科ヨモギ属の青蒿(セイコウ:Artemisia annua、クソニンジン)でした。
ところが、坑マラリアに有効な成分が含まれていることが判明した後、その成分を安定して抽出することが難しく苦戦していました。
それを救ったのが約1700年前の古書『肘後備急方』の「セイコウを水に浸して搾り取った液を飲む」という一文でした。
この解説はマラリアのこと、現在とは名称が違う漢方植物はセイコウのことを指しているのではないか?
それならば、成分の抽出方法も書いてある通りに試してみよう。
現在では、より純度を高い成分を得るために、水蒸気蒸留法や煮詰める方法が一般的に用いられています。
加熱によって成分が変化してしまうのでは?と考え、古書の通りに試してみたら大成功!
1700年前の漢方の知識で、すでに判っていたなんて凄い!
恐るべし中国の歴史、漢方の歴史と思いました。
この坑マラリア薬のアーテミシニンは、従来のものと比較して、副作用が小さく、薬に耐性を持つように進化したマラリア原虫にもパワーを発揮するという特徴も、また凄い。
しかしながら、アーテミシニンに耐性を持つマラリア原虫も最近出てきたという。。。
こういうことも含め、薬草、生薬、漢方って、それを研究実証してきた中国の歴史って、深いなあと思います。
『クソニンジン』、けっこう原っぱとか、近所で自生しているかもよ?
そーんなに臭くないから(私の感覚では)、見つけたら香りを感じてみては?これが何十万人もの人々の命を救ってるんだと思うと、感慨深いかもね!
#漢方 #ノーベル賞 #クソニンジン #生薬 #薬草 #トゥ ヨウヨウ
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